2026年8月7日金曜日

介護福祉士の学びノート 第10講「救済の始まりとエリザベス救貧法」

 

科目「人間の尊厳と自立」

 第1節 人間らしさを守る権利と福祉の考え方

 第4項 社会福祉の歩みから学ぶ人権と福祉の理念


❶ 救済の始まりとエリザベス救貧法 

社会福祉の歴史は、1601年にイギリスで制定された「エリザベス救貧法」から始まったといわれています。当時、毛織物産業の発展に伴う「囲い込み」によって多くの農民が土地を失い、仕事も住む場所もない人々が急増しました。この深刻な社会問題に対応するため、国家が初めて「制度」として救済を行ったのがエリザベス救貧法です。

 この法律では、困窮した人々を「働くことができる人」と「働くことができない人」に分け、働ける人には就労を、働けない人には救貧院での保護を行いました。また、子どもには徒弟奉公を通して将来の自立を目指す仕組みも設けられました。現在の生活保護制度にも、この考え方の一部が受け継がれています。

一方で、この制度は生活に困っている人を支えるだけでなく、社会秩序を維持し、労働力を確保するという目的も強く持っていました。現代の社会福祉は「人間の尊厳」を大切にする考え方へと発展していますが、その原点には、このような歴史的な制度があったことを知ることは、福祉を学ぶうえで大切な視点といえます。


参考文献

介護福祉士養成講座編集委員会,介護福祉士養成講座1人間の理解(2),中央法規,2022p16-17


😊今回の内容に関する介護福祉士国家試験模擬問題😊

(正答はページの最下段)


イギリスで制定されたエリザベス救貧法に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. すべての国民に無条件で生活費を給付する制度を設けた。
  2. 貧困を個人の責任とせず、利用者の自己決定を最優先とした。
  3. 困窮者を労働能力の有無などによって分類し、就労や保護を行った。
  4. 高齢者や障害者に対する社会保険制度を創設した。
  5. 民間の慈善活動に救済を委ね、国家の関与を廃止した。

※この模擬問題は今回の「介護の学びノート」に内容に基づいて作成しています。実際の介護福祉士国家試験の対策問題としての内容を保証するものではありません。



正答 3 エリザベス救貧法は、困窮者を労働能力などによって分類し、働ける人には就労を求め、働けない人には保護を行った。国家が制度として貧困対策を行った点が特徴。