科目「人間の尊厳と自立」
第1節 人間らしさを守る権利と福祉の考え方
第4項 社会福祉の歩みから学ぶ人権と福祉の理念
❷ 救済より自立を重視した新救貧法 ~劣等処遇の原則~
1834年、イギリスでは産業革命による失業や貧困の拡大を背景に、「新救貧法」が制定されました。工場の機械化によって多くの労働者が職を失い、長時間労働や劣悪な生活環境も社会問題となったためです。
しかし、この法律は「救済は最低限にとどめるべき」という考え方を基本とし、救済を受ける人の生活は、働く人よりも厳しいものでなければならないという「劣等処遇の原則」が採用されました。
その背景には、経済学者マルサスの人口論や慈善論があり、貧困は個人の問題であり、安易な救済はかえって貧困を増やすという考え方が広がっていました。さらに19世紀後半には、ダーウィンの進化論を社会に当てはめた「社会ダーウィニズム」が生まれ、「強い者が生き残る」という考えから優生思想へと発展していきました。
現代の社会福祉は、このような歴史を反省し、「人間の尊厳」や「その人らしい暮らし」を大切にする理念へと大きく転換しています。過去を学ぶことは、今の福祉の価値を深く理解するための大切な第一歩といえるでしょう。
参考文献
介護福祉士養成講座編集委員会,介護福祉士養成講座1人間の理解(第2版),中央法規,2022,p17-18
1834年にイギリスで制定された新救貧法に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 救済を受ける人の生活水準は、一般労働者より高く保障されるべきとした。
- 貧困は社会全体の責任と考え、無条件で十分な現金給付を行った。
- 労等処遇の原則(劣等処遇の原則)を採用し、救済を受ける生活は一般労働者より低い水準とした。
- 人間の尊厳と自己決定を最優先とする現在の福祉理念を確立した。
- 障害の有無にかかわらず地域で共生する社会の実現を目的とした。
※この模擬問題は今回の「介護の学びノート」に内容に基づいて作成しています。実際の介護福祉士国家試験の対策問題としての内容を保証するものではありません。